本研究では、弱視児・者に関する社会的認識の実態を大規模な調査によって明らかにし学校や社会教育の場において、一般の人が弱視に関する認識を深めることができる福祉教育プログラムを開発し、その効果を心理学的な手法によって評価した。具体的には、以下の点を解明した。 1.弱視者の行動面、心理面、教育や福祉等に関する社会調査によって認識の実態を明らかにした。 一般人(766名)を対象にして、弱視に関する認識を問う項目(20項目)によって認識の実態を調査し、その結果を年齢等の視点から分析した。 2.「オーソリティによる講義法」の弱視者に対する態度変容効果を確認した。 弱視に関する認識を深めるための講義を専門家が行い、それによる弱視者に対する態度変容効果をSDイメージ尺度を用いて分析した。短大生(94名)が対象。 3.「弱視者による講演法」の態度変容効果を確認した。 弱視者による約2時間の講演会を開催し、それによる態度変容効果を分析した。短大生(43名)が対象。 4.弱視児のための「拡大絵本作成ボランティア参加法」の態度変容効果を確認した。 拡大絵本作成のボランティア活動に参加し、それを盲学校に寄贈する試みの効果を分析する。対象者は専門学校生・大学生の131名。 5.弱視に関する書物を読む「読書法」の態度変容効果を確認した。 弱視の理解促進に効果的であると思われる鈴木月美著「光れ隻眼0.06」を読むことによる効果を分析した。81名。 6.弱視に関する映像を利用する「映像法」の態度変容効果を確認した。 「光れ隻眼0.06」のテレビドラマ化された映像を視聴することの効果を分析した。対象は成人婦人28名。 7.弱視児と共に授業を受ける「交流教育」の態度変容効果を確認した。 弱視生徒と正眼生徒の交流教育の効果を分析した。対象は短大生42名。
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