研究課題/領域番号 |
04610039
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
斎藤 耕二 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70014686)
|
研究分担者 |
佐野 秀樹 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10196305)
渡邊 祥子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (90014761)
|
キーワード | 発達段階 / 人間性の概念 / 青年期 / 概念形成 / 発達 / 比較文化 / 認知発達 / 面接法 |
研究概要 |
本研究の目的は「人間性の概念」について巾広く、かつより組織的な接近を試るものである。パーソナリティ研究において従来から、自我形成の発達論が盛んに展開されてきたが、近来新しい視点として「人間性の概念(Concept of human nature)」があり、異文化相互・比較に関する研究の課題となっている。その際考慮すべき点として、イ)人格構造の理論的位置づけ、2)構造的側面の測定法の適切さが挙げられる。R.Oerter(ミュンヘン大学)は、人格の発達理論として人格構造を多く多面的に捉えて、1.パーソナリティ理論、2.社会・環境的理論 3.行動理論、4.思考過程 の4領域に分類し、各々について5段階(I、II、IIIa、IIIb、IIII)の発達段階を設定した。測定方法は、ディレンマ課題(職業と家庭、学歴の2種)をインタビューで実施し、その内容を分析して社会的課題解決の水準を段階区分する。本研究は、西独、米国、インドネシア、韓国、中国で既に実施され、文化比較的成果が報告されている(‘86、‘89、‘91)のを受けて、さらに日本の資料を加えて検討するための日独協同研究である。本研究の骨子となるディレンマ課題の日本版作成とインタビュア訓練にはエルター教授の来日を得て慎重に時間をかけて協議を重ねて当った。当初目標とした被験者数は100名であったが、インタビューによる方法はインタビューそれ自体はもとより、内容の遂語的原稿作成及びその英訳、そして分析に予想を超えた人手と時間を要したため、今回は50名の分析となった。その結果、被験者(18〜25才男女、高学歴、低学歴)は、IIIaに67%、IIIbに25%、IIIIは8%の発達段階に分布した。これは年令や学歴よりも、社会的要因(職業経験)が強く影響していることがわかり興味深い結果となった。なお、問題点として、発達段階の評定方法が多義的であいまいさが残ること、特にIIIaとIIIbの区別の困難さ、及び、ディレンマ課題の内容の、その文化的適切性等が挙げられよう。
|