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1992 年度 実績報告書

チンパンジーの聴覚認知に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 04610053
研究機関京都大学

研究代表者

小嶋 祥三  京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70027499)

キーワードチンパンジー / 聴覚認知 / 聴覚記憶 / 協覚-視覚総合
研究概要

一般にチンパンジーの聴覚-視覚統合機能の研究は遅れている。その理由は課題の習得が困難だからである。本研究は1頭のチンパンジーで、音とその音を出す物体(例えばベルの音とベル)の映像との2肢選択のマッチングを検討することにより、聴覚-視覚の異種感覚間統合機能を検討してきた。前年度の研究により多くの音を出す物体で、その音を聞くだけで映像を正しく選択することができるようになった。今年度はその数を38対にまで増加させた。
続いて音声言語の理解を検討した。そのために刺激対の一方を音の出ない物(例えばコマ)とし、その物体に対しては「コマ」と実験者が発話する条件を導入した。この条件を20セッション与えたか、容易に学習が成立した。そこで対の両者とも音の出ない物体にして実験した。総計20セッション行ない、様々な条件を導入したが、成績はチャンス・レベルを越えることはなかった。この問題は現在も検討中であるが、チンパンジーにとって音声言語の理解が容易でないことを示唆している。
また母音とそれを発話する口形とのマッチングも検討したが、学習は成立しなかった。この点もヒトと異なる。
以上は音声言語に関わる実験であるが、次に記憶の実験について述ベる。記憶の実験では音の提示と映像の提示の間に遅延時間を捜入した。 その値は2、4、8、16秒である。その結果、さらに検討が必要であるが、16秒の遅延で成績はチャンス・レベルに低下した。これは位置や視覚刺激の結果と大きく異なる。聴覚入力を短期的に保持し、それにしたがって反応を分化させることが容易でないようだ。
以上の実験ではすベて実際の物体を利用して音を提示したが、次にその音を録音して提示した。驚いたことに成績は75%レベルに低下した。 この結果はかれらの聴覚-視覚統合の困難さを示している。

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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