研究課題/領域番号 |
04610055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南 徹弘 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (40030043)
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研究分担者 |
待田 昌二 大阪大学, 人間科学部, 技官 (00222290)
今川 真治 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00211756)
金澤 忠博 大阪大学, 人間科学部, 助手 (30214430)
中道 正之 大阪大学, 人間科学部, 助手 (60183886)
糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962)
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キーワード | ニホンザル / カニクイザル / 身体接触 / 抱き行動 / 体温維持 |
研究概要 |
ニホンザルとかカニクイザルを問わずサル類においては、出生後およそ3カ月間の経過するなかで子ザルは母ザルにしがみつき、乳首をくわえ、母ザルの示すほんのわずかな動作にも敏感に反応して、母ザルをつかまえる、あるいは母ザルの背に飛び乗るといった行動をする。他方、母ザルは分娩直後から子ザルをしっかりと抱くことばかりではなく、子ザルそのものを他のサルや観察者やその視線から隠すような行動さえも示す。つまり、分娩直後における母ザルの子ザルを抱く行動は、自力では体温を維持することの困難な時期においては子ザルの体温の維持に役立ち、外敵から子ザルを保護することにおいて極めて重要な行動であることが明らかとなった。また、母ザルの子ザルに向けられた抱き行動とグルーミングはそれぞれに母子の身体接触と関連する行動であるが、抱き行動は子ザルの成長・発達とともに急速に減少する行動である。そのなかで、グルーミングはそのような変化をほとんど示さず、子ザルの成長・発達に伴う急速な変化はみられなかった。つまり、このことは、身体接触そのものであるグルーミングが一貫してある程度の母子の身体接触を維持する働きをもち、母子の最低限度の身体接触を保証することを意味する。本年度の目的の一つである母子接触と分離に関連する行動を詳細にみていくなかで以上に述べたような、母子の行動とその働きが明らかとなった。このような成果をふまえて、本年度は、これまで収集した多くの資料の解析に務めるとともに、これらの行動における子ザルの性の違いがいかに反映しているか、および母ザルの行動のなかに子ザルの性差がいかにあらわれうるかを明らかにする予定である。
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