1、時間不安測定尺度の構成 混乱・苛立ち・時間従属の3つの下位尺度それぞれ5項目からなる時間不安尺度(質問項目15項目)を構成し、その信頼性と因子論的・概念的妥当性の検討を行った。その結果、時間不安特性の測定尺度として本尺度が有用であることが分かった。 2、時間不安を規定する要因 時間不安を規定する要因として、時間評価・心拍リズム・集団志向性の4つをとりあげ、各要因と時間不安特性との関係を検討した。その結果、時間不安得点と時間評価との間に興味ある関連が認められた。また時間不安得点の高いものほど、集団志向性が強いことが分かった。しかし、時間不安得点の高低と心拍リズムとの間には何ら有意な関係は認められなかった。 3、時間不安と課題解決行動 時間不安には、(1)時間的切迫による不安と(2)その結果として不利益の到来を予想することによる予期不安とが重なりあっている。加算作業という課題解決事態において、この2つの不安を引き起こす条件操作を行い、時間的切迫それ自体が、ほんとうに不安を引き起こす条件として機能しているのかを検討した。その結果、時間的切迫条件は、結果のいかんにかかわらず、不安を引き起こす条件でありうることが分かった。また、時間不安得点の高いものほど、時間的切迫条件での課題遂行に混乱が大きいことも分かった。 4、時間不安と待ち合わせ行動 時間不安得点が高いほど、待ち合わせ時間より早めにやってくることが調査においても実験でも確かめられ、時間不安が時間関連行動に影響を与えていることが分かった。
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