研究概要 |
当該年度は,各方面と絶え間ない連絡を保ったが,新しい事故の情報は一例も寄せられなかった。これは研究者にとっては残念なことであるが,障害者の側からすると,事故がないことはたいへん結構なことであるので,複雑な気持ちで一年を過ごした。 そこで,本年度はかねての計画通り,これまでに収集した事例をデータベース化のためにコンピュータへ入力するとともに,視覚障害者のオリエンテーションとモビリティ(OM)の特性と事故原因の関連を詳細に検討した。視覚障害者のOM特性に関しては,音源定位,エコー定位,偏執傾向,square-off effectと慣性力の影響,不確定性の高い聴覚情報に基づく判断,記憶依存性,強い心理的ストレスなどが指摘されているが,事故例を分析すると,事故原因にこれらの特性が深く関与していることが明らかとなった。事故防止に関しては,これらの特性を十分考慮して対策を立てる必要がある。 今年度は視覚障害者の安全移動を支援する設備として,最も普及している点字ブロックに関して,新しい形状や素材に関して実験的検討も実施した。形状に関しては線状ブロックについて従来のものより突起部の幅が狭いものを試作し,評価した。また,道路横断を支援するための横断歩道上に敷くブロックの素材について検討し,実験的に敷設して,その効果を確かめた。さらに,ゴムチップを利用した第三の点字ブロックというべきものを試作し,評価した。いずれの試作品も良好な結果が得られた。
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