平成4年10月29日〜11月3日の日程で、島根県邇摩郡仁摩町大字馬路地区において20歳以上の全住民796名を対象とする住宅意識調査を実施した。その結果、予備調査等の結果を照らし合わせ、以下の点が明らかになった。 1.馬路地区の高齢化の実態はすさまじく、高齢者のみの世帯が多いが、将来、都会に出ている子供を呼び戻したり、自分自身が都会の子供のもとに行って扶養してもらいたいと考える者はほとんどいない。 2.このような高齢者達の中でも、馬路地区で生まれ育った者達は、自分が生活している地域社会、人間関係及び自然への愛着が強く、例え自立した生活が不可能になっても、地域社会から離れたくないという強い意志を持っている。その結果馬路地区に大規模な老人ホームの建設を期待している。 3.隣接する仁万地区での砂をテーマとする「サンド・ミュージアム」の建設と、そのシンボルとしての馬路地区の海岸の整備の結果、大量の観光客が地区を訪れるようになったが、この機会を捉えて積極的な観光開発に乗り出すべきだとする住民は少数で、むしろ、自然環境や静かな生活環境の破壊に対する不満を持つ住宅が多い。 4.全体に地域的閉鎖意識が強く、仁摩町全体の中に馬路地区を位置付けて問題を解決していこうとする意識が弱い。 本調査のみでは十分な提言が不可能なので、平成5年度以降も宅野、仁万、大国の各地区において同様の調査を実施するとともに、関東、関西在住の仁摩町出身者に対してもアンケート調査を実施する予定である。
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