研究概要 |
1 研究の目的 在宅障害老人の生活を第一義的に支えているインフォーマル・ケアリング・ネットワーク(非公式な介護網)の形態、質量、特徴などを測定する指標の開発を行い、その測定を試みる。 2 研究の方法と対象 (1)「在宅障害老人」を把握するために、都下M市の65歳以上の高齢者の3分の1を抽出(9,028人)して、身体面および痴呆の障害の有無をチェックするスクリーニング調査を実施した。有効回答票は7,903(回収率87.4%)であり、うち950人が障害老人として抽出された。抽出された老人を対象に第二次調査(訪問面接)を行った結果、最終的に439名の障害老人が把握された。有効回答数に対する出現率は5.6%(身障1.9%痴呆1.4%重複2.3%)であった。(2)家族や親族、近隣、ボランティアなどによるケアやサポートおよびそのネットワークに関する研究はまだ開始されたばかりで手探りの状態である。従来の研究から、老人の介護は圧倒的に同居家族により行われていること、それに別居の子供か別居の親族(孫甥姪等)が手伝っている程度であることが判明している。そこで、本研究では主たる介護者が同居家族である場合に絞って、(1)別居の子供や親族との交流回数、(2)家族介護者に対する3提供主体(同居家族、別居親族、友人・隣人)からの情緒的サポート(2項目)、手段的サポート(2項目)があるか否かをたずねる計12項目の尺度を開発して、測定を行った。 3 研究の結果 (1)別居子がいる老人は85.4%、うち週1回以上交流があるのは63.5%で、いても交流がないのは3割であった。(2)サポートしてくれる人が「いる」は比較的多く、例外的に低い友人・隣人からの手段的サポートを除けば、6〜7割が同居家族や別居親族、友人・隣人からのサポートを得ていた。また男性や高齢者の方にサポートが有意に少ないことなどが判明した。本格的な分析は引続き行う予定である。
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