現代社会における深刻な教育問題の一つである登校拒否に着目し、その解決の方向を学校教育と社会教育の連携に求めて研究を進めた。本年度学校週5日制が始められ、その動向は本研究にも関連し、従来とは違う休日という時間論的視点から問題にアプローチすることができた。そしてその結果を、青少年の発達に注目しつつ、登校拒否の現状の理解、および学校教育と社会教育との連携の方向性という二点に即して、次のようにまとめたい。登校拒否問題は、都市や農村などの地域特性を問わず広範に存在し、むしろ学校、教師、家庭などに注目して、個別的事例を分析することにより、その理解に迫ることができる。子どもが、家庭、学校、地域の中で、親、兄弟、友達、教師などの人間関係において発達する過程を、個別的な事例を通して検討することが、登校拒否問題へのアプローチの第一歩である。それ故、地域や学校などの比較考察ではなく、小学生、中学生等の子どもの発達段階に即した考察がまず必要であり、前者の作業はそこに立脚すべきである。青少年をさらに発達段階にそって分節化し、それを地域や学校の状況に即して研究するのである。次に、学校週5日制が始められ、休日が増えることで、登校という現象に変化が生じ、登校拒否問題にも影響が及ぶと想定されたが、しかし現在のところマスコミなどが一時期喧伝しただけで、子どもの生活に関わる変化は現われておらず、登校拒問題においても同様である。社会教育でも対応を試行錯誤する中で、連携拡充への試みを広げている段階で、それを構造化するためにはさらなる調査が求められる。特に、社会教育では子どもの発達理解をより深める必要がある。なお、現状では月に一週の割合で土曜休日が施行されており、今後その割合が二週、三週と増える中で、子どもの生活や登校行為に時間論的変化が生まれることも想定されるのであり、それ故、この調査研究の継続的な積み重ねが必要だ。
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