教育という行為を中心にして、教師と子どもの双方に厳しいストレス状況がある。教師については、多忙、同僚教師との人間関係、自分自身の力量、そして子どもとの関係や子どもの問題行動といった問題が原因となってストレス状況はかなり深刻である。しかも、最近は子どもたちの授業妨害や器物破損、教師に対するいやがらせ行為が増加してきており、教師のストレス状況を増幅させている。一方、こうした子どもたちにもかなりストレトがたまっていることが明らかになった。しかも、なかには精神的に問題を抱えている子ども、病的な症状がみられる子どもまでいる。子どもたちのストレスの原因としては、勉強や成績、教師との関係、親の期待、子ども同士の人間関係、部活、時間に追われているといった問題、そして中学生には校則(生徒心得)の問題もある。そのうえ、子どもたちの場合は、たんにストレスがたまっているというだけではなく、これが非行・問題行動に結びついていることも少なくない。先ほどの教師に対する様々な問題行動も、こうしたストレスと密接に結びついている。こうした諸点を総合すると、次のような事実が明らかである。教師が「教育」をすることによって、子どもたちはストレスを生じる。そのストレスによって、子どもたちは精神的に圧迫され、なかには問題行動をおこすこともある。それに対して、教師は過剰な管理や、厳しく子どもたちの生活を規制することによって対応しようとする。しかし、これによって子どもたちのストレスはさらに高まる。このメカニズムは、まったくの悪循環である。現在の教育状況はこれを象徴するものであり、事態をより深刻にしている。教育という行為によって生み出されてくるストレス(「教育ストレス」)が、教師と子どもたちの双方を圧迫している。その接点に、最近の学校における様々な問題状況がある。例えば教師の体罰、厳しい校則、そして子どもたちの問題である。
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