ユネスコおよび世界銀行の調査報告書を中心に、世界的規模での国際教育援助政策の実態を知ることに中心をおいた。また、具体的な提言を含む政策に関する実践的、理論的な議論を学会誌等からレヴィューすることも試みた。具体的には、以下の通りである。 世界銀行の政策研究報告書「サハラ以南地方の教育ー調整、再活性化、拡大」(1988年)は、世界銀行がアフリカ諸国に対していかなる教育援助政策を採択してきたか、また今後国際援助供与コミュニティのなかでどのような調整や協力が必要かを、明らかにしている。 とりわけ、アフリカの教育改革をサポートするための望ましい援助計画について、次の三点を強調している。 1) 一口の教育政策の発展と管理を改善するためには、「種まき資金」の提供が必要なこと。 2) 援助供与団体が、個別の利害や関心を超えて共通の課題を設定して、共同歩調をとること。 3) 国際援助コミュニティを構成する世界銀行をはじめとする種々の援助団体が、各国政府から財政的、政治的に自立し、高い質と能力を持つ技術専門家を育成すること。 世界銀行の報告書をめぐって、“Comparative Education Review"“Compare".“International Review of Education"誌上において世界銀行を中心とする援助政策の背景にある技術合理性のイデオロギーをめぐる激しい論争は援助政策の困難さをあらわしている。
|