平成4〜5年度の計画は以下の通りである。 1.内務省衛生局と東京府、内務衛生局と各県および東京府と各県の産婆行政に関する情報の流れ、その結果としての各府県の産婆に関する布令達、規則等の制定を明らかにする。 (1)東京府庶務課、衛生課の文書より、東京府庶務課と内務省および各府県間で交わした照会および回答、通達等の発掘、解読と整理。 (2)各県布令達集または広報、警察署の文書より、布令達規則および通達類の発掘、解読と整理。県は福島県、宮城県、岩手県、青森県、秋田県、山形県と中心とする。 2.東京府病院産婆教授所の教育方針の各県への伝播と定着の経緯を明らかにする。 (1)産婆講習所、産婆学校等の所在、教育の状況に関する史料の発掘、解読と整理。 (2)元産婆の個人および家族所蔵の史料の収集、整理。 以上の計画の中、 1-(1)は史料収集は終了したが、写真撮影した史料の解読、整理はまだ終了していいない。 1-(2)は史料収集はほぼ終了したが、山形県、宮城県以外は史料整理の途中である。 2-(1)(2)は講習所の存在と活躍した個人を特定できたが、訪問しての史料収集にはいたっていない。 したがって、個人所蔵の史料以外の史料収集はほぼ終了したが、解読、整理が終了していないため、近代日本の産婆教育成立過程の特質を考察するには至っていない状況である。
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