(1)1980年代に、英国・インドなどで集中的に「インド植民地官僚研究」に関する著書及び論文が刊行された。しかし、その後90年代にはいると、管見の限りでは上記課題に関する研究は、進展していないようである。そこで、これまで刊行された論文・著書で、本研究補助金によって購入したものをもとに、研究視角・分析方法・論点の整理(研究史整理)を行った。その成果は次年度と降に発表する予定である。 (2)1980〜92年の間に刊行された主要なインド近代政治史研究書(主として英文)に基づき、1860-1900年の40年間における、植民地官僚機構、植民地統治制度、統治政策の変容について、年表を作成している。この年表から官僚機構の改革・変動が植民地政策の変化とどのような相関性を持つのか、また、官僚の機能・役割の専門化(徴税・行政・司法・軍事分野毎に分化)が進行しているのかどうか、を分析しつつある。 (3)1870年以降漸次的に登用されてきたインド人官僚について、(1)彼らの社会的、経済的、教育的背景を個別に抽出し、かつ彼らが任用された時期、地域、分野、役職、在任期間などについてデータを分類し、何らかの傾向が見いだせるかどうか、(2)これらのデータを、同時期の英国人植民地官僚のそれらと比較しつつ、両者の間にどのような顕著な差異あるいは共通性が見いだされるのか、(3)特定の分野(専門的役職、機能など)にインド人官僚が集中しているかどうか、もし集中しているとすれば、それは当時の英国植民地統治のどのような政策を反映しているのか、を分析しつつある。
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