平成4年度のリンガラ語に引き続き、アフリカ、ザイール共和国東部に話されるバンツー系のナンデ(Nande)語(バンツー語研究ではJ42という分類記号が与えられている。話し手人口は約100万人)のデータ入力を行い、護彙集を完成させた。 すなわち、まず、データをアスキー・ファイルで入力し、それを別途考案した印字ソフトで打ち出すのである(ただし、索引は今回は付けていない)。ナンデ語には、母音はieaou以外に「張り」のiとuがあり、また半母音も、iとj、そしてuとuのそれぞれの高母音に対応したものがある。そして、声調も高〔^-〕と低〔_-〕を基本としつつも、下降調〔\〕と上昇調〔/〕が生じる。 ところで、これらの補助記号を直接母音に付けた形でデータ入力すると、単語の検索その他が非常に困難になる。また、入力ソフトが異なればデータの互換性は失われる。従って、本研究では、入力そのものはアスキー・ファイルで行い、それを印字の際に、必要な音声記号に転化する方法を取ったのである。 なお、単語の配列順は、身体部分から始まる意味順とした。これをフランス語、日本語、(ザイール)スワヒリ語で示し、そして、次の行にナンデ語の形を示してある。単語配列を、形ではなく意味の順にしたのは、実用面での便利さのみならず、比較言語学的研究において、求める同源語(cognate)の見つけ易さを考慮してのことである。
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