今年度は基本的な関連資料の収集に努めた。日中間の合弁事例のみならず、中外合弁企業の事例にかかわる報告をはじめ、地方的法規を含めた渉外関連法規、渉外経済関連の統計資料、研究論文、報告書などを、日中両国で発行、公表されたものに限らず、諸外国のものも含めて広く収集した。収集したこれらの資料は現在、項目別に分類、整理中である。 このほかでは、中国における渉外経済関連法規の整備状況およびその問題点について、新潟大学法学部助教授・國谷知史氏に、最近の中外合弁企業の主要な事例とその問題点について、現代文化研究所研究員、高山勇氏から、それぞれ報告を受け、疑問点について多くの教示を得た。とくに高山氏からは、氏自身が昨年秋に現地調査も含めたケース・スタディを実施した成果について報告して頂き、貴重な資料の提供も受け、中外合弁企業の実態について相当詳しい知識を得ることができた。 ここ2〜3年の中外合弁企業は日中合弁企業も含めて急激な数の増加をみている。投資分野についても、サービス・商業分野から機械・電気などの本格的製造業へシフトする傾向がみられ、投資規模の拡大も著しい特徴のひとつとなっている。他方、中国の渉外経済法もいよいよ市場経済に対応したものへと本格的な変化をとげつつあり、中国の投資環境はますます資本主義企業にとって異和感の少ないものとなりつつある。 したがって、今年度は基礎研究という意味あいから、資料の整理と、以上のような変化に対応した新しい問題点の析出、今後の研究課題の具体的な設定という段階にとどまり、研究成果の公表にまでは至らなかった。
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