日本と中国との合弁企業は、これまでほとんどが「合資経営企業」であった。それは基本的には中国の政策によるものであったが、同時にその他の企業形態にかかわる法制が未整備なことも起因していた。しかし、80年代末までには法制も整備され、また中国の外資導入政策も産業および地域の特性を考慮して企業形態を選択するようになったため、「合資経営企業」以外の「合作経営企業」や100%外資の「外資企業」も急増している。その結果、産業別、地域別、企業形態別に外資奨励策がとられるようになり、法律の内容は相当に複雑化している。さらに加えて、80年代末からは経済改革が従来の社会主義経済の枠組みを超えて展開されるようになったため、中国の経済法は原則的な部分から修正を迫られるようになっている。 本研究では、以上のような状況をふまえて、日本の企業が中国に資本進出する際の関連する法律について、産業別、地域別、企業形態別に異なる内容を整理、分類し、問題点を抽出することに努めた。とくに、各地方政府によって制定されている地方的法規にみられる、中央の法律との違い、他の地方的法規との違いを明らかにし、そこに含まれている問題について考察した。また、87年代の憲法改正以降登場してきた、土地法や株式会社法など経済改革のあたらしい動きに対応する法律上の問題が、合弁事業関連の法制度にどのような影響をもたらしているかについても検討した。
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