本研究における成果の一部は、「合弁事業関連法の特徴と問題点」と題する論文にまとめられ、1994年5月に日本評論社から刊行を予定されている、小口彦太編『中国ビジネスの法と実際』の1章として公表される。同論文の構成は以下のとおりである。 はじめに/1.中国法の構造的特徴(1)拡大する地域間格差(2)対外経済法の特徴/2.合弁事業関連法の整備過程(1)第1段階(1979年〜82年)(2)第2段階(1983年〜86年)(3)第3段階(1986年〜 )/3.三資企業(1)企業形態の選択(2)三資企業の発展過程(3)技術導入の問題点/4.合資経営企業(1)出資比率と経営権(2)統制主義は緩和されるか/5.合弁事業の政治的リスク(1)安定性を欠く政治(2)三資企業に対する党の指導(3)党活動の影響/おわりに 本論文では、80年代以降の中国における合弁事業の実態に即して、外資導入政策の展開過程、それにあわせた関連法規の整備、その内容と問題点、外資系企業の各組織形態の特徴およびそれぞれの問題点、対中投資の現状と問題点、近年の経済改革にともなって新しく生じた問題点、などの各テーマについて具体的に検討し、実情をふまえた分析を加えた。 なお、地域間格差の拡大にともなう地方立法の展開、および経済改革の進展にともなってあらたに生じた立法上の問題については、期間内に成果をまとめきれなかったので、ひきつづき研究をすすめ、今年内にその成果を公表する予定である。
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