南アフリカの制憲会議の議員選挙が四月下旬に行われることが確定した。本年度の研究は、昨年度に引きつづいて、選挙実施が確定するに至り、選挙立候補政党の登録までの経緯を追いながら、将来予定されている新憲法体制づくりについて考察した。 一昨年ボイパトン事件後ANCがCODESAの討議から脱退した。そのために制憲会議への道が閉されかけていたのであるが、その後、ANCが政府の意見を了承することで新しくCODESAにかわって多党会議が発足して、アフリカ人も参加し、国会をも拘束する権限をもつ執行会議が発足し、ここで暫定憲法が制憲された。こうして制憲会議への道が再び開かれた。 しかし、一方で白人右派とインカタ自由党は政府とANCの主導する改革に反発して、散発的なゲリラをくりかえして、多党会議からも脱退した。このため、今年に入ってから受付をはじめた政党登録も拒否するありさまであった。政府、ANCはそれでも改革の意思は強く、白人右派については、できるかぎりの白人権益やズール一族の自治権保障を認めることで選挙参加をよびかけ、両者もこれを了承して選挙参加がきまり、本格的な選挙戦に入ることになった。以上のような経緯のなかで、政党別の勢力分布の分析、新憲法の内容予測、人権協調社会への期待、そしてこれら南アフリカの改革に対する国際的な評価などについての検討をすすめた。
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