本研究の中心は、裁判例の総合研究を製造物責任立法のあり方の二点にあるが、そのそれぞれについて成果を発表することが、本年度の課題であった。前者に関しては、日本製造物責任法判例リステイトメントとして完成させ、それを中心として研究実績報告書を完成させた。なお、提出した研究実績書に具体的裁判例を付加したものを一書にして発表することを企画し、それについてはすべて脱稿済みであるが、出版社の都合により、平成六年夏に出版される予定である。 第二の製造物責任立法のあり方については、「立法提案・製造物責任法.(1)〜(13)」をNBLに発表し、日本における製造物責任のあり方を検討した。これは、民事責任の実体規定のみならず、訴訟手続上の問題、行政的救済手続、責任保険の問題をも取り扱った大がかりなものであり、既存の各国の製造物責任立法、立法諸提案とくらべ、独自性が高いものであると自負している。
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