研究課題/領域番号 |
04620025
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田村 悦一 立命館大学, 法学部, 教授 (40066634)
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研究分担者 |
出口 雅久 立命館大学, 法学部, 助教授 (70237022)
吉村 良一 立命館大学, 法学部, 教授 (40131312)
二宮 周平 立命館大学, 法学部, 教授 (40131726)
吉田 美喜夫 立命館大学, 法学部, 教授 (70148386)
佐上 善和 立命館大学, 法学部, 教授 (50081162)
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キーワード | 滞在許可 / 就労許可 / 社会保険 / 外国人政策 / 外国人労働者 / 外国人法 / 移民政策 / 難民政策 |
研究概要 |
今回、立命館大学法学部は、日独における外国人労働者に関する法的諸問題として、外国人労働者の公法上の地位、外国人労働者の労働法上の問題、私法における外国人労働者という三つの側面からケルン大学法学部と国際共同研究を行った。日独両国の法体系を比較する際の前提として以下の点が重要である。外国人の意義については、ドイツ法はEC諸国の国民は準内国人として扱い、EC以外の外国人が外人法の対象となる点で、日本法と相違がある。また、外国人の受け入れについては、いずれの国も移民受入れには消極であり、血統主義を採っているが、ドイツ法が在留管離型であるのに対して、日本法は出入国管理型を採っている。ドイツ法の特色は、その管理システムであり、滞在許可と就労許可から構成されている。まず外国人労働者の公法上の地位に関しては、移民受入れの問題、外国人労働者の社会保険、難民問題等が挙げられるが、とりわけ、ドイツの社会保険法は原則としてドイツ人と外国人を平等に扱っている点が特色である。次に外国人労働者の労働法上の問題に関しては、ドイツ労働市場への参入に対しては、外国人には原則として閉ざされているが、例外的に内務省管轄の滞在許可と雇用庁管轄の労働許可があれば、合法的に認められている。その窓口としては、三つの形式があり、第一の門として、欧州における労働市場への自由な参入、第二の門として、就業目的の外国人の受入れ、第三の門として、事後的就業目的の外国人の受入れが考えられる。最後に私法における外国人労働者に関しては、ドイツ外国人法は原則としてドイツ人より不利に扱われることはない。しかし、民法上の原理原則をそのまま適用した場合に不都合が生じる場合がある。たとえば、言葉のリクスから生じる契約内容の錯誤の問題、外国の公序良俗概念は、日独の現行法は殆ど考慮していない。いずれにしても、外国人労働者は単なる労働力ではなく人間であるという点を再認識すべきことが重要である。すなわち、家族の問題、住居の問題、外国人に対する偏見や敵意からどのようにかれらを保護すべきかが課題となる。ドイツでの外国人政策は経済問題に重点が置かれすぎた点は問題があると考える。わが国の今後の法政策の方向性としては、人間としての必要をも満足させうる場合にのみ、外国人労働者の積極的な受け入れに取り組むべきであると考える。
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