研究課題/領域番号 |
04620025
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会法学
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田村 悦一 立命館大学, 法学部, 教授 (40066634)
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研究分担者 |
吉村 良一 立命館大学, 法学部, 教授 (40131312)
二宮 周平 立命館大学, 法学部, 教授 (40131726)
吉田 美喜夫 立命館大学, 法学部, 教授 (70148386)
佐上 善和 立命館大学, 法学部, 教授 (50081162)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | 外国人労働者 / 労働政策 / 人権の国際化 / 人権保障 / 外国人行政 / 婚外子 / 胎児認知 / 不法就労者 |
研究概要 |
平成4年度は、外国人労働者問題に関するドイツ法と日本法との接点を明確化する作業を進めた。平成5年度は、ケルンから3名の研究者を招き、立命館大学で共同研究を行った。平成6年度は、その成果を踏まえ、公法、民事法、家族法、労働法、社会保障法の各領域について日本法とドイツ法との比較研究を行い、研究成果報告書を作成した。 研究成果の要点は以下の通りである。 (1)外国人労働者の公法上の法的地位の問題は、労働対策のレベルからだけではなく、人権の国際化ないし外国人の人権保障という観点から扱われるべきである。合法、不法とは関わりなく、およそ外国人の権利保障に対して消極的・閉鎖的なわが国の対策ないし公法理論、判例の後進性がもたらす問題の解決のためには、「国家主権」理論および行政裁量の完全な自由とされている外国人行政についても根本的に再検討する必要がある。 (2)国籍取得の血統主義や二重国籍を禁止する現行制度は、国際化が進んでいる状況の下では、外国人労働者の人権や生活を保障する上で再検討される必要がある。とくに、女性の外国人労働者が増加する中で、日本人の男性と結婚して子を設けることがあるが、その子が婚外子の場合、胎児認知が無いかぎり日本国籍が取得できないので、母子とも国外退去が命ぜられ、父親と引き離されてしまうことが起こる。この問題を解決するために、国籍法を改正して、認知による国籍取得を可能にすべきである。 (3)外国人に開かれた社会および市場では、個別に必要な保護や配慮が法的レベルでも講じられつつも、活動に対する自己責任は否定されない。しかし、この原則が貫徹する前提として、外国人にも平等の権利保障がなければならない。この点で、日本法の現状には、まだ余りにも大きな問題がある。その典型が不法就労者の場合である。ここでは、個別の労働法上の保護以前の、一般的な人権レベルでの権利侵害が見られる。これを解決するためには、単純労働の就労を否定しつつ、実際には多数の外国人労働者の就労を黙認しているという「建前と現実」との乖離を埋める政策的な判断が必要な段階にきている。
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