研究課題/領域番号 |
04620026
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山上 皓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60107315)
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研究分担者 |
石井 利文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00143610)
加藤 久雄 慶応義塾大学, 法学部, 教授 (90051713)
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キーワード | 犯罪 / 暴力犯罪 / 精神鑑定 / 精神分裂病 / 追跡調査 / 責任能力 / 再犯 / 保安処分 |
研究概要 |
昭和55年1年間に法務省に報告・登録された精神障害犯罪者、全946例の資料に基づき、精神鑑定と、裁判官ないし検察官による責任能力判定の実態を明らかにするため、各種調査を実施した。 平成4年度は、精神分裂病暴力犯罪者215例についての、精神鑑定の実施状況を調査し、いくつかの問題点を明らかにした。平成5年度はさらに、同一の事例において、事件により、裁判官や検察官の責任能力判定が変遷する経緯が調査された。対象としたのは、上記全946例のうち、その後平成3年末までの11年間に再犯を行って、再び責任無能力ないし限定責任能力を認められた、102例である。その結果、次のような問題点が明らかにされた。 1)責任能力の判定は、必ずしも、病気や判断力障害の重さの程度に応じて下されてはいない。 2)検察官は、罪種や罪状の重いものに責任無能力を・軽いものに限定責任能力を適用する傾向がある。 3)犯罪を何度も反復する事例は、類似した精神状態下で犯行に及ぶことが多いが、そのような場合でも責任能力の判定は、完全責任能力、限定責任能力・責任無能力と、転々と変わることが稀ではない。 4)わが国に保安処分制度のないことが、精神障害犯罪者の頻回に亘る犯行の反復を許し、同時に法律家の責任能力判定における困難を強めていることが窺われる。 この調査研究の成果を、前年度のそれと合わせ、報告書にまとめた。 なお、今回開始した追跡調査の過程で、精神障害犯罪者の再犯には、法務省に報告・登録されていないものが少なからずあることが明らかにされ、これについての新たな調査を開始した。 (同年度に2回犯行を繰り返したものが17例あり、延べ事例数は963例)
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