日本の援助に関しては、海外でも関心が高く、現在でも新しい研究書が次々と発刊されている。本プロジェクトを始動した1992年には、1991年度の日本の政府開発援助(ODA)供与実績が2年ぶりに米国を上回った事に加え、政府開発援助大綱の発表や日本のODA関連の研究書の相次ぐ発売に、日本の政府開発援助に関する関心の高まりをあらためて実感させられた。1993年夏には香港で、1994年春にはワシントンDCで、研究成果の一部を発表したが、そうした場でもこのことを強く感じさせられた。 本プロジェクトの遂行の過程で、海外経済協力基金や国際協力事業団の方々にお世話になった。インタビューのまねごとをさせていただいたり、資料をいただいたり、援助担当機関で実務についている方々の視点からの意見に触れることができ、たいへん参考になった。また、1992年夏にタイ・バングラデシュへの援助プロジェクト視察旅行を行ない、この際にお世話になったOECF・JICAの方々からも、より実務に密着した部分での意見・情報を得ることができた。 1993年度においては、供与された援助は途上国の経済成長と分配の平等にどのような貢献をするのか、に焦点をあて、いくつかの仮説を検証する予定であった。また、1994年度においては、本研究プロジェクトの第1年度の成果と第2年度の成果とを総合する部分に着手する予定だった。しかし、研究代表者が体調を崩して入院するなど、しばらくの間、本研究の継続に支障を来した。時間的な遅れとの関連で、研究報告書の完成が遅れてしまったが、『琉大法学』第52号、第58号に成果の一部を発表することができ、これらを元に研究成果報告書をまとめることができた。
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