本年度は、昨年度にひきつづき、企業間の共同研究開発についての理論的、実証的研究をおこなうとともに、日本の企業間関係、企業間の連携についての理論的、実証的研究を新たに開始した。共同研究開発については、理論的な立場から、共同研究開発がどのような場合に厚生を増加させるか、という点を検討した。さらに、このような理論的研究をふまえて、日本における鉱工業技術研究組合方式による共同研究開発の実態を明らかにし、その評価を試みるとともに、公正取引委員会による共同研究開発についてのガイドラインを検討した。これらの論点をまとめた論文をパリで開かれたシンポジウムで報告した。また、新たに、水平的系列、垂直的系列とよばれるような企業間の連携について、その歴史的背景を検討し、さらに理論的な検討の視点を明らかにした。これらを含んだ論文は、まだ完成途上であるが、その概要を同じシンポジウムで発表した。
|