研究概要 |
本年度は研究の一応のとりまとめとして、論文を2編、執筆した。以下はこれにそって、得られた知見等をのべる。 第一論文は“Collaborative R&D and Competition Policy:Economic Analysis in the Light of Japanese Experience“と題されており、一橋大学経済研究所教授 鈴村興太郎と共著である。この論文では、第一に、日本における共同研究開発の実態をレビューし、とりわけ、技術研究組合について、その設立の動向、背景、産業別の数の推移をあきらかにした。第二に、理論モデルを構築し、共同研究開発が社会の厚生を増加させる場合とそうでない場合があること、増加させる場合とそうでない場合とを別けるのは、企業数およびスピルオーバーの程度であることも明らかにした。第三に、日、米、EUにおける競争法が、共同研究開発にどのような姿勢をとっているかを比較した。 第二論文は“Keiretsu:Inter-firm velatioush:P in Japan"と題されており、これも鈴村興太郎との共著である。この論文では、水平的系列、垂直的系列の双方について、その歴史的な背景および制度的な背景を明らかにし、さらに、これらが日本経済に与えた影響を評価する際に考慮されるべき論点を明らかにした。 両論文は、研究発表のところで記した.Waverman,Comanor,Goto編の本、Competition Policy in a Global Economyに所収される。
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