3年間が予定されている本研究計画のうち、第1年目に当る本年度はほぼその実施計画に沿って以下のような調査研究を実施した。 第1に、内外の研究央のなかで重要なものをさらに収集しつつ整備し、産業技術概念の整理・分析を進めた。例えば次のようなタイプ論を構成し、その意味連関を考察した。(1)労働節約型対資源節約型、(2)製品技術対製造技術、(3)体系型対蓄積型、(4)メカニクス対エレクトロニクス、など。 第2に、アメリカ多国籍企業の生産技術の調査については、予定していた短期のアメリカ出張が中止になったため、とりあえず在日支社や工場でのインタビュー、電話貭問などにより、可能な範囲のデータを集め整理した。本国からの派遣者の比率(管理者、技術者)、彼らの配置部署、産業や地域ごとの違いなど。 第3に、比較の対象になる日本側の自動車と電機企業の日本の工場と本社について、20ケ所近く訪問し、観察とインタビューにより最近の技術変化に注目しつつデータを集め、整理分析した。 第4に、関連する他の海外調査(文部省国際学術調査、板垣博埼玉大学教授代表)に参加して、1992年夏に韓国、台湾における日系企業と現地企業の工場を訪問し、本調査にとっても有益なデータを得ることができた。 第5に、1992年秋にヨーロッパにおいて二つの国際学会に参加し、その機会にドイツやイギリスに進出した日系工場やドイツの自動車企業(フォルクスワーゲン)を訪問し、やはり興味深い有益なデータを収集した。
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