本年度の研究は3年計画の第2年目にあたっており、内外におけるデータの収集・整理に最大のエネルギーを投入しつつ、いくつかの機会を利用して成果の一部を公表することもおこなった。その概要は以下のとおりである。1.前年度に引き続き、日米(多国籍)企業の産業技術の関する内外の研究成果の検討をおこなった(M.ポーターの『国の競争優位』など)。2.日本の自動車、電機企業の国内工場、本社の訪問調査、企業関係者を含む研究会などを通じて、関係データを収集した。3.本研究者が代表をつとめる国際共同研究グループの海外学術調査を通じて、つぎのような関連データを収集・整理し、その成果の一部を公表しつつある。すなわち、1)、韓国、台湾調査(1992年)、ASEAN諸国調査(1993年)において、日系企業を中心に欧米企業を含む現地工場を調査し、現地生産活動における日米企業の比較をある程度おこなうことができた。2)、またその成果をこれまでおこなってきたアメリカにおける同様の現地調査の成果と比較し、興味深い評価結果を得つつある(成果、雑誌論文(1))。4.外部の調査研究機関(国際金融情報センター)のプロジェクト(「対米直接投資の再評価」)に参加してアメリカにおける調査(1993年秋)をおこない、日米自動車・電機企業の工場活動に関してつぎのような本研究の関連データを収集した。すなわち、1)、日系現地工場については、これまでにおこなった調査成果(1986年、89年など)と比較した変化、2)、アメリカ企業の工場については、その経営・生産活動における「日本的要素」の導入状況および海外工場との関係、などのデータを収集した。そしてこの調査の成果も一部公表されつつある(図書(1)、(2))。 現在、以上の膨大な収集データの整理・加工に追われており、これを継続しつつ、ついで分析・評価、総合的とりまとめの作業に入るのが、第3年目の課題である。
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