本研究は、昭和末に顕著に現れた一方で地価が異常に高騰し、他方土地の高度利用が進まないという問題に対し、どのような土地税制および土地政策が求められ、またそれが問題の解決にどのように有効に機能するかを検討することを目的としていた。 本年度は、前年度の研究をさらに展開する形で、問題の次の諸点の解明を試みた。すなわち1つは、この数年の地価下落に見られるように比較的短期間に地価の急激な変動がなぜ生じるかという問題である。2つは、地価の高騰、それに引き続く下落の中でも効率的と考えられる土地利用が進んだと言えないことである。これを、前者については、1994年春の米価高騰と同様に、供給と需要の著しい不均衡が生じる場合には市場が十分に機能しないという問題が一般に存在し、それが土地については典型的に生じうることを示した。また第2の問題については、それを解明する視点として「土地利用の固定性」および「土地利用の非分割性」に注目し、これらの性質を考慮した場合、それが土地利用にどのように影響するか、そして、それらの特徴を考慮する場合、どのような土地政策が求められるかを検討した。 2年度にわたる本研究の結果は、地価高騰および土地に非効率利用の双方の問題が、現在の土地税制および土地政策・利用規制によってもたらされていると同時に、それらが市場依存によってすべて解決されるのでなく、状況によってよりきめ細かな政策が求められることを明らかにしている。
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