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本研究は、社会的責任指向の経営戦略と競争的市場指向の経営戦略の統合を試みつつ、現代の経営戦略の特質と課題を明らかにしようとするものである。
平成4年度は、社会的責任および経営戦略論をめぐる諸研究者のこれまでの研究成果をサーベイするとともに、社会的責任指向の経営戦略と競争的市場指向のそれの総合可能性について理論的掘り下げを行った。すなわち、社会的責任への経営倫理論的角度からの考察について、あるいは環境問題対応の責任等を中心とする社会貢献責任の本質ならびに責任対応の戦略について、眺めた。また、企業活動の国際化の中での企業の共生課題の展開に焦点を当て、成長戦略および競争戦略の今日的問題を日本的経営との関連のうちに論じた。
平成5年度は、前年度の上記のような研究結果を踏まえつつ、かかる研究結果の一層の理論的掘り下げに努めた。すなわち、日本企業の国際的共生課題を日本の企業システムの閉鎖性とのからみの中で、あるいは途上国への日本企業の展開との関連の中で、更に考察した。また、経営倫理研究の展開傾向およびそのような研究の課題について、詳しくみた。本年度のこのような成果ならびに前年度の成果は、本研究の目的である総合的経営戦略の解明に、大きく寄与するものである。
両年度の本研究の一部は既に、経営行動研究学会と日本経営学会の全国大会(いずれも統一論題)での報告をはじめとする学会報告、名古屋大学のテレビ、ビデオ両放送公開講座、更には幾つかの論文や著書の形で公表されているが、現在、研究の全体結果のまとめを単著の形で発表すべく努めているところであり、年内に公刊の運びとなる予定である。
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