本研究「日本型生産システムの形成に関する研究」は、主に自動車企業を対象とし、サプライヤーとアセンブラーの関係も広義の生産システムと考え、現在の関係がどのように形成されたかを提出するものである。 本研究の実施計画に基づき、私が個人的に収集してきた資料の整理を最初に行なった。と同時に、トヨタ自動車に出向きインタヴューなどにより資料の収集をおこなった。また、国立国会図書館などに出向き、これまで検討を行なってこなかった雑誌等の検索、複写などをおこなった。また、折に触れ、元従業員や現在のサプライヤーとの面談をおこなった。また8月には来日したラゾーニック教授やマス教授と本研究の構想について、議論をし、貴重な示唆を受けた。こうした調査、議論をおこなう過程で明らかになったのは、本研究が最初に対象にした、研究対象の時期を戦後のみに限定するだけでは不十分なのではないかということである。また、ラゾーニック教授やマス教授との討論の結果、彼らの研究プロジェクトと本研究が重なることがわかり、彼らの要請にしたがい、彼らの研究プロジェクトに参画することになった。(予備会議は1993年3月にハーヴァード大学にて開催予定で、本研究の成果の一部も、その研究プロジェクト予備会議にて発表する。)秋以降はそれまでの調査をとりまとめる作業に従事するとともに、本研究を時期的に遡る必要性と、それが実現可能か否かについての予備調査も行なった。この結果、研究を遂行することが可能であるとともに、必要であるとの結論に達し、平成5年度の科学研究費一般研究(C)に「日本における下請制度の展開」を申請した。なお、本年度の研究成果の取り纒めは、目下おこなっており、1993年度中には公表したいと考えている。
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