研究概要 |
経営環境の変化に対応して、企業の会計環境や監査環境にも多様な変革が起ってきた。まずコンピュータの発達並びに情報化の進捗により、情報システム会計や情報システム監査の重要性が益々高まり、そのニーズは次の世代を育成するための大学教育研究にもインパクトを与えてきている。本研究では、まず第1に監査環境の変化を歴史的発展段階的に整理し、情報システムの重要性にかかる理論的要因を考察した。第2に監査環境の実践的要因として、現実的な監査訴訟事件に注目し、いわゆる監査裁判を資料分析した。第3に監査環境の変革を、アメリカ公認会計士協会の監査基準書の改訂に求めて、文献整理の基礎を研究した。そこでは「監査リスク・アプローチ」の考え方を体系的に分類・整理・考察した。第4に、本研究では、わが国における代表的な会計学や監査論講座をもつ大学に出向き、それぞれの大学において、情報システム会計やシステム監査に関する教育と研究がどのように進められているか、あるいは監査環境の変化とリスク・アプローチに対応する研究や教育の現状と特徴を、直接に調査・研究・資料収集そして意見交換してきた。その結果、すでにいくつかの研究成果は上げた。例えば各大学の研究教育の特徴比較や監査リスク・アプローチの考え方、それに対応する外部監査人,内部監査人,あるいは監査役や監亊、そしてシステム監査人のそれぞれの対応関係に大きな特徴がある。したがってそれぞれ監査責任の課題も違ってくる。また制度的に実践段階で総合性と異質性が類型比較される。以上の諸点については、つづく平成5年度においても研究も継続し、同研究調査と分析整理の方法により、情報システム会計とシステム監査の現代的課題類型並びにその実践的・制度的展開の諸類型を考察していく予定である。
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