研究概要 |
弱双曲型偏微分方程式の初期値問題に関する研究は、先ず1964年にOhya、Leray-OhyaによりGevrey級関数の枠で始まり、1970年にはC^∞級関数の枠でE.E.Levi条件を提唱したMizohata-Ohyaの研究へと続けられた。これらを契機として、一般論の展開がいろいろな形で行われ、その後 擬微分作用素の利用とも結びついて、特異性の伝播の立場からも論じられている。今日では双曲系をも含めた既知の結果の整理とも言うベき研究も行われている。Ohyaは創始者の一人として、重複度一定を仮定しない場合にも1977年にOleinikの仕事の一般化として、C^∞級関数の枠の結論を更にBronshteinの仕事の拡張として、Taramaと共同でGevrey級関数の枠での結論を与えている。今年度これらの研究の流れが博士後期課程学生の話題の基となった。 1.水の波の研究で表われた例に対して、Y,Shiozakiは弱双曲型擬微分作用素 〕.SU.〔 に対するH^∞-適切な初期値問題を論じた。 2.非線形問題への展開として、John、Klainerman、Hormander、Lindbladが研究して来た流れの中でS.Katayamaは□u=F(u,u´,u´´) の小さい初期値に対する大域解の存在証明に成功し、更に空間2次元の遠合には適当な条件の下に波動方程式系に対しても大域解が存在することを示した。
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