研究課題
離散数学、特に、グラフ理論に関する研究が活発に行われた。特に、グラフの分割問題に関する研究が盛んであった。たとえば、グラフの辺集合を閉路のない部分グラフ(すなわち、林)に分割するという問題については、Nash-Williamsにより発見された美しい公式があるが、その証明は極めて難解であった。今回、その簡単な別証明が得られた。また、頂点集合の分割問題(誘導部分グラフへの分割)としては、k-連結グラフは大きさを指定したk-個の連結部分グラフに分割できるという結果が有名であるが、連結度を最小次数におきかえた問題、すなわち、最小次数がk-以上の連結グラフは大きさを指定したk-個の部分グラフで最小次数が1以上のもの(すなわち、孤立点を持たない部分グラフ)に分割できるかという問題は長い間未解決であった。今回、この問題が肯定的に解決され、さらに、連結度の場合には各部分グラフが含むべき点を1点ずつ指定できるという結果に対応する予想、すなわち、最小次数が3k-2以上ならば、各部グラフが含むべき点を1点ずつ指定しても孤立点を含まないように分割できるという予想を提出した。なお、最小次数が3k以上ならばこの予想の成立することがほぼ証明できた。統計現象を記述する式には、2項係数や各種組合せ数、およびそれらを使った母関数などがよく使われる。それらの間に成り立つ自明でない関係をいくつか証明し、グラフの全域木の数や確率・統計現象との関係について新しい結果が得られた。組ひも群において丸立するのではないかとコクセターによって予想された問題を、肯定的に解決した。実際、もっと一般に、(A)型から(H)型までのディンキン図形に対応するアルティン半群においても、同様の関係式が成立することを示した。
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