活動的銀河中心核の活動性は銀河中心の巨大ブラックホールにガスが流れ込むときの重力エネルギーの解放に由来しているとされている。銀河ではガスの多くは、銀河中心から数kpcに分布しており、これを銀河中心へ供給するにはなんらかの機構でガスの角運動量を取り除く必要がある。この機構について研究が盛んになされている。同様の過程は爆発的星形成銀河でも起きていると考えられている。 この研究では銀河にバー構造の重力ポテンシャルがあると仮定して、ガスとバー構造との相互作用、この過程に対するガスの自己重力の効果、ガスの自己重力の銀河の恒星系に対する影響などを調べ、銀河中心へガスが供給される物理過程を調べた。 平成4年度は、銀河に弱いバー構造を仮定してガスの自己重力を考慮してガス運動を、数値流体力学を用いて研究した。この結果デスク内を回転するガスとバーとのinner Lindblad共鳴によってガスはinner Lindblad半径付近にかき集められる場合、ガスの自己重力が強められ、ガス運動は不安定となりガスは更に銀河中心へ急速に集中することが明らかになった。 平成5年度では、上記のようにガスが大量に銀河中心へ集中する場合ガスの自己重力の恒星系への影響を無視することは出来ないので、弱いバー構造を持つ銀河を自己重力多体系である恒星系とガスの2成分系として扱い、数値計算を行った。その結果、ガスは銀河中心へ集中して重力が強くなると星の系のバー構造は変化しはじめ、ガスが銀河中心へ集中した後、力学的な時間で壊れることが明らかになった。このことは、爆発的星形成銀河などで銀河中心にガスが集中したあとで、バー構造が消滅し、ガスの銀河中心集中過程に対するバー構造の役割をわかりくくすることを意味しており観測との比較において重要な結果である。 以上の研究の一部はすでに論文として出版し、残りは投稿準備中である。
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