回転星の進化計算のために必要な基本的な計算法を定式化し、計算機コードを開発することを目的とした。その際、回転則によっては子午面内の流れが発生するが、問題として子午面環流のある場合とない場合に分けて定式化と計算を行った。 1.子午面環流を許す場合:子午面環流はkelvin-Helmholtzの時間尺度に回転と重力のエネルギー比だけさらに遅くなった時間尺度での運動なので、速度の1次までをとって定式化する。そうすると、問題はpseudo-barotropicになり、圧力、密度、ポテンシャルが全て温度のみの関数となり、恒星の構造と子午面運動を分離して解くことができる。本研究で計算機コードとして開発したのは (1)現実的な状態方程式と吸収係数をその2次元回転星の構造のコードに組み入れた。 (2)化学組成も温度のみの関数と仮定し、非一様な組成の構造も求めることができた。 (3)エネルギーに関しては、定常的に水素燃焼が起る場合をコードに取り入れた。 (4)準静的な時間変化を調べるため、核反応ネットワークを組み込むことができた。 2.子午面運動を押える場合:子午面運動がない場合、回転則と軸対称回転星の構造を求めるための定式化を行った。それは、回転則はbaroclinicityによってz依存性を持つので、運動方程式の積分条件を用いてバロクリニシティを明確に取り入れた定式化である。その定式化にしたがって、計算機コードを開発しつつある。
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