赤色脈動変光星は、長周期の規則/半規則変光星で、古くから知られているものの、主たる輻射が赤外線域であるために、脈動の物理的諸量が観測的に決定されず、恒星進化晩期の重要な段階にあるにもかかわらず、そのHR図上の位置等基本的諸量が未解明であった。 本研究では、大マジェラン雲中の赤外脈動変光星についての最新の赤外線測光観測によって明らかになったこれらの星の周期光度関係に解釈を施し、恒星の進化計算に基づく漸近的巨星分枝の星の振動の計算を行った上で、観測と理論を比較してこれらの星の基本的諸量を求めることを目的としている。 本年度は、観測的に求められた赤色長周期変光星の周期光度関係にかなり分散のある事に着目し、この分散を用いて周期光度関係を有効温度光度関係にマッピングすることを考察した。これを基本アイディアとして、国内外の研究者達と議論をし、その基本的正しさを確認した。現在漸近的赤色巨星分枝の星の現実的進化モデルを得るべく計算を実行している。
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