変光星の変光の時系列やX線星からのX線強度の時系列をニューロコンピュータを用いて解析することを最終目標としているが、以下現在までに完了している部分、進行中の部分、今後の計画と順を追って述べる。 1.解析の見通しをつけるため変光星等の生のデータの代わりになる人工的であるが天体現象と直接比較できる流体力学的モデルの振舞いを調べた。さし当りのターゲットであるF型超巨星のモデルを調べたところ、不規則的な脈動を示すモデルが得られた。このモデルからの出力データに対して従来の相関次元を求めるなどの解析を試みた。 2.簡単の数学モデル(例えば、10gistic方程式やHenon写像)から生成される時系列をニューロで学習し、それに基づいた予測モデルが時系列の特微をよく獲得していることは知られている。さらに複雑な振舞いを示すデータに対してニューロが有効であるか現在調べている。用いているデータはMackey-Glass方程式、相関次元が高いデータ(例えば4程度)では学習がなかなか収束しない。これがクリアできれば流体力学模型からの出力にたいしてもニユーロは適用できる。 3.当面のターゲットであるF型超巨星に関しては、HD161796と89Herの2つは最新のデータを入手している。観測データの量としてはニューロによる解析に充分であるが、観測シーズンの制約から連続したデータでない点をどの様にクリアするか今後の課題である。その次のステップとしてほかの変光星やX線星のデータにもニューロの解析方法を適用することを計画している。
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