中性子星内部でインナークラスト中の超流体は他の部分より速く回転していると考えられている。この超流体中の渦糸は、インナークラスト中に共存する格子状の原子核にピン留めされている。熱的な励起により渦糸はときどきピン外れを起し、外側に向って移動する。これは超流体渦糸のクリープ運動とよばれている。クリープ運動により超流体とクラストはカップルし、超流体の回転が徐々に遅くなる。私たちは以前線形解析から、このカップリングは温度がある臨界値以下になると不安定であることを示した。今回は非線形項を含めて数値計算を実行し、この不安定性がいかに発展するかを調べ、以下のようなことが明らかになった。 1.不安定性はリミットサイクル的な振舞いへと発展し、温度や超流体とクラストとの角速度の差が振動する。 2.この不安定性は物理的には摩擦不安定である。クリープ運動に伴なう摩擦は角速度差を減少させ、熱の発生を起す。クリープ運動は温度に敏感に依存しているため、温度上昇の効果は角速度減少の効果を上回り、摩擦がますます大きくなるのである。 3.振動のあるフェーズでは、摩擦による内部トルクが外部トルクより大きくなり、クラストの角速度が正になる。つまり、クラストのスピンアップが起る。 ガンマ線バーストはなんらかの摂動により死んだパルサーの磁気圈で起った放電現象ではないかという提案がある。放電現象に伴なうエネルギー放出率を調べた。放電電流ループのサイズに対する制限から、エネルギー放出率は磁気双極子輻射の値を越えられないことがわかった。この提案はガンマ線バーストのモデルとしては無理であると考えられる。
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