研究概要 |
今年度は,リアプノフ指数が性であるという意味で,冥王星の運動はカオス的であることの力学的意味を明確にすることに的をしぼって数値シミュレーションを行ない,以下の2点を明らかにした。 1)冥王星の運動はは次の3つの力学的関係を満たしている。 (a)冥王星は海王星との3:1平均運動共鳴にある, (b)冥王星の近日点は90度のまわりを約400万年の周期で振動し,離心率と軌道傾斜角も同じ周期で振動している, (c)冥王星と海王星の昇交点経度の差も近日点の振動周期と同期している。 また近接軌道も上記の3つの関係を満たしている。 2)3:1平均運動共鳴に関連する臨界引数の初期値を変化させ,上記の3つの関係がどのようになっていくかを調べた。臨界引数の初期値を大きくしていくと,まづ(c)の関係がくづれ,ついで(b)の関係が壊されていくが,依然として冥王星の運動にはなんらの不安定性を示す兆候も現れない。しかし,さらに初期値を大きくしていくと,(a)の関係が,破壊され運動はカオス的になった。 次年度はもう少し広いパラメータ空間で上記の3つの力学的安定化機構が破壊されていく過程を調べていく予定である。
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