研究課題/領域番号 |
04640277
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
木下 宙 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 教授 (00012857)
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研究分担者 |
谷川 清隆 国立天文台, 理論天文学研究系, 助教授 (80125210)
中井 宏 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (60155653)
吉田 春夫 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助教授 (70220663)
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キーワード | カオス / 共鳴 / 冥王星 / 数値シミュレーション / 軌道安定性 |
研究概要 |
本年度は外惑星系を110億年間(過去55億年、未来55億年)の数値シミュレーションを実行し、運動がカオス的であると言われている冥王星の運動について以下の2点を明らかにした。 1)冥王星は110億ものあいだ安定して次の3種の共鳴関係にあった。 (a)冥王星は海王星との間に3:2の共鳴関係にある(平均運動共鳴)。 (b)冥王星の近日点は90度のまわりを約400万年の周期で振動し、離心率・軌道傾斜角も同じ周期で振動している。 (c)冥王星の軌道面の海王星軌道面に対する回転周期は近日点の振動周期と同じである(第2種共鳴)。 2)冥王星の運動は太陽系の年齢(45億年)の時間スケールでは大局的に安定である。 冥王星とその近接軌道の差の時間発展は(a)初期の4千万年は時間に比例して増大し(b)その後に指数関数的に増大し,(c)ほぼ4億年後に、その差は飽和し、定常値のまわりを振動するだけである。リアプノフ指数が正であるのは(b)の段階に対応している。指数的増加が抑圧されるのは上記に述べた3種の共鳴関係によってである。従ってリアププノフ指数は系の大局的性質を表していないのである。
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