研究分担者 |
堀田 明男 静岡大学, 教養部, 教授 (00022111)
今野 收 東北大学, 理学部, 助手 (90004449)
宮瀬 晴久 東北大学, 教養部, 教授 (40005822)
須田 利美 東北大学, 教養部, 助手 (30202138)
菅原 真澄 東北大学, 理学部, 教授 (30004287)
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研究概要 |
本実験は,重陽子のしきい値付近において,大移行運動量領域で散乱電子と共に放出陽子の角分布を測定するもので,予備計算によると,中間子交換電流や相対論的効果などの寄与が十分大きいと期待できた.しかし,この実験を行うためには,液体重水素標的や信頼できる測定系の整備が必要であった. MI T-Bates研究所で使用している液体重水素標的の標的容器の断面は通常円形である.しかし,断面が円形の標的では,陽子が標的中を通過する距離がその発生位置によって異なり,エネルギー損失に幅が生じる.この実験では,陽子のエネルギー損失は一定にして分解能を上げる必要がある.したがって,陽子が重水素中を通過する距離が一定になるように,断面が長方形の標的容器を使用することにした.しかし,円形の容器と異なり,長方形の容器には不均一な圧力が加わるので,その設計には十分注意する必要がある.そこで標的容器の試作品を日本に製作し,マサチューセッツ大学でその信頼性,安全性を確認し,それに基づいて実験で用いる標的容器を製作した. この実験では2台の磁気スペクトロメータを用いて,散乱電子と放出陽子の運動量を分析する.実験では,陽子の角度を標的の位置で20mrの分解能で測定する必要がある.我々が陽子測定に使用するスペクトロメータの焦点面には粒子の位置と角度を測定するための垂直型ドリフトチェンバー,粒子検出の時間情報を測定しトリガー信号を発生させるシンチレーションカウンター,電子とそれ以外の粒子を選別するAerogelチェレンコフカウンターが配置されている.これらのシステムの計算上の性能は実験に必要な条件を満たしているが,実際には計算に含まれていない様々な誤差が存在するので,実際の実験でその性能を確認する必要がある.そこで,^3He(e,e'd)実験の際に得たデータをもとに,補正の効果や分解能の評価を行った.実験で得られたデーターに様々な補正を施した結果,我々が必要とする分解能をほぼ達成している事が確認された.
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