研究概要 |
1993年度のモンテ・カルロ法を用いた長時間計算機実験での成果は次の通りであった。 monopoleのstring tensionへの寄与を詳細に調べ、予想どおりmonopoleのみで再現される事が解った。さらに、monopoleのeffective actionを求めることに成功し、compact U(1)と同様の議論で、モノポール凝縮とそれによるクォーク閉じ込めを示す結果を得た。またQCDのデュアルな真空を、外場をいれたときの系の反応から調べた。 1)abelian Wilson loopがphotonからの寄与の部分とmonopoleからの寄与の部分の積に書けることを見出し、SU(2)gauge theoryでそれぞれからstatic potentialを計算した。その結果、monopoleの寄与からstring tensionが再現され、クーロン項はphotonから得られることがわかった。 2)温度ゼロのSU(2)gauge theoryでmonopoleのeffective actionを求め、真空中ではlong distanceでmonopole loopのentropyはenergyを上まわり、monopole condensationが起こっていることが明かにされた。 3)SU(2),SU(3)pure gauge theoryで、abelianのWilson loopを外場として入れた、QCDの真空を調べた。monopole currentのrotationとabelianの電場を測定し、Dual Ginzburg-Landau方程式にあてはめることにより、その中のパラメーターである、penetration lengthとcoherence lengthを求めた。その結果、SU(2),SU(3)ともに、超伝導の言葉でいうと、type1とtype2の境界あたりであることがわかった。(1)(2)(3)については、それぞれ鈴木、柴、松原によりダラスで開催されたLattice'93において発表され、その後も、日本物理学会、基研研究会、高エネルギー研等で江尻、柴、鈴木らによって発表された。
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