研究概要 |
モンテ・カルロ法では、1992年度は1)モノポールによる閉じ込めがわかっているcompact U(1)と比較をしつつ調べた。その結果、abelian projectionした後のSU(2)effective actionはcompact U(1)のような簡単な形ではないこと、2)SU(2)でクォーク場の入ったQCDでの計算も実行した。その結果、monopole currentの時間-空間成分の差が、クォーク場のないときと同様にたいへん良い閉じ込め-非閉じ込めの秩序パラメーターであることがわかった。クォーク場の存在しているfull QCDでは始めての信頼できる閉じ込めの秩序パラメーターの発見である。 1993年度は1)abelian Wilson loopがphotonからの寄与の部分とmonopoleからの寄与の部分の積に書けることを見出し、SU(2)gauge theoryでそれぞれからstatic potentialを計算した。その結果、monopoleの寄与からstring tensionが再現され、クーロン項はphotonから得られることがわかった。2)温度ゼロのSU(2)gauge theoryでmonopoleのeffective actionを求め、真空中ではlong distanceでmonopole loopのentropyはenergyを上まわり、monopole condensationが起こっていることが明かにされた。3)SU(2),SU(3)pure gauge theoryで、abelianのWilson loopを外場として入れた、QCDの真空を調べた。monopole currentのrotationとabelianの電場を測定し、Dual Ginzburg-Landau方程式にあてはめることにより、その中のパラメーターである、penetration lengthとcoherence lengthを求めた。その結果、SU(2),SU(3)ともに、超伝導の言葉でいうと、type1とtype2の境界あたりであることがわかった。 QCD赤外有効理論の立場では、バリオンのスピンと速度に依存したポテンシャルの計算を行った。大変に複雑な系なので、最も単純な正三角形の場合のみを行ったが、メソンの場合と良くにた振る舞いがわかった。
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