平成4年度、5年度の二年間にわたる本研究の研究実績は次のとうりである。 1.超対称な標準模型において、SO(10)やE_6大統一理論などで示唆される境界条件の下で、topやbottomクォークの大きな質量比が果たして自然な形で説明できるかどうかをくりこみ群方程式を用いて議論した。U(1)-hyperchargeやτ-leptonによるSU(2)_Rの破れの効果と、QCD相互作用の相乗効果により実現できる事を示した。 2.任意のループ次数の計算で、くりこみ群を満たすように有効ポテンシヤルを求める一般的方法を新しく提唱した。この方法は、decoupling定理の応用によりmass scaleが複数の全く一般的な系に適用可能となる。 3.系が外部ゲージ場と結合している場合、bound-statesやcurrent vertexの非摂動的近似的取り扱い法が外部ゲージ不変性を満たすかどうかは自明な問題ではない。我々は、Schwinger-Dyson方程式およびBethe-Salpeter方程式を用いる場合、このゲージ不変性を満たすためにはそれらの方程式の近似法の間にconsistencyが必要であることを指摘し、ゲージ不変性を満たす系統的方法を明らかにした。 4.Improved Ladder近似をHeavy Quarkメソンに適用して、heavy quark極限での普遍的構造関数-Isgur-Wise関数-を計算した。我々の計算では、前方での勾配-slope parameter-が他の計算より大きくなり、その結果CKM行列の要素V_<cb>がこれまでより数%大きく予言される。 5.E_6大統一理論での対称性のダイナミカルな自発的破れを調べるべく、1 generationのフェルミオンで一般の4-fermi相互作用を持つモデルを議論した。その結果、二つの4-fermi相互作用の大小関係に応じて、E_6対称性は、F_4あるいはSp(8)or G_2 or SU(3)のどちらかに崩壊することが明らかになった。
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