研究概要 |
自然界の3種類の力のなかで、弱・電磁相互作用に注目すると、この力はゲージ群SU(2)×U(1)に基づいた「標準模型」(ワインバーグ・サラム模型)で記述されることが次第に確かになりつつある。しかし、この理論が確立されるためには、量子電磁力学の時にそうであったように、輻射補正の効果を検証することが必要である。このような観点から研究目的のa)とb)の項目(研究計画の1)と2)の項目)の研究を行い、具体的には次のような新しい結果が得られた。 弱・電磁ゲージ理論に於ける輻射補正に関して、u,dクォークなどの3世代のフェルミオンのループによる寄与は既に答がわかっている。我々は標準模型を超えた模型を探るという観点から、標準模型に含まれている重い粒子のループによる輻射補正の評価を行った。重い粒子による輻射補正の効果はT,S,Uという三つのパラメーターで表されることが知られている。Tに対するループの寄与は大体分かっている。我々は標準模型を超えた次の三つのタイプの模型に関して、重い粒子のループからのSパラメターへの寄与を求めた。a)multi-doubletヒグス模型、b)テクニカラー型模型、C)ミニマルSUSY模型。合わせて、SU(2)_L又はSU(2)_Rのグローバルなカイラル対称性がSパラメターを解析するのに有用であることを示した。 上記の研究に関して、3世代を超えて重いフェルミオンの世代がある場合を想定した研究を行っている。重いフェルミオンの世代のTとSパラメターへの寄与を最近の精密実験と比較することにより、重いフェルミオンの世代数に対する制限が得られる。この研究は平成5年度にも続ける予定である。
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