研究概要 |
素粒子の間に働く基本的な3種類の力のなかで、弱・電磁相互作用はゲージ群SU(2)×U(1)に基づいた「標準理論」で記述されることが確かになりつつある。この理論が確立されるためには、輻射補正の効果と精密実験との比較が必要となる。このような観点から研究目的のa)とb)の項目の研究を行い、次のような結果が得られた。 標準模型を超えた模型では、クオークやレプトンなどによりずっと重い(質量がM_Wより大きい)粒子が存在することが予想される。クオークやレプトンなどの軽い粒子の反応に対して、重い粒子の効果はループによる輻射補正として現れる。これらの効果は、多くの場合、無視できる程小さいが、ゲージ・ボゾンの2点及び3点関数では重い粒子のループの効果が重要となる。これらのプロセスに対する輻射補正の研究から、標準模型を超えた現象を探ることができる。 3世代を超えて重いフェルミオンの世代がある場合を想定し、ゲージ・ボゾンの2点関数(S,T,Uパラメーター)に関して、重いフェルミオンの世代からの寄与の評価を行った。最近の精密実験との比較から、余分の世代数(Neg)に対して、Neg(〕 SY.ltoreq. 〔)2という強い制限が得られた。 近い将来に行われる高エネルギーe^+e^-衝突におけるゲージ・ボゾンの3点関数の測定を念頭におき、重いフェルミオンの3点関数(W^+W^-γ及びW^+W^-Z^0頂点関数)への寄与の評価を行った。具体的には、3点関数に現れる重い粒子のループのnon-decoupling効果がいくつのパラメーターで表されるかを導いた。
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