研究課題/領域番号 |
04640300
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 徹 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (20175409)
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研究分担者 |
森田 彦 札幌学院大学, 社会情報学部, 講師 (90212266)
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キーワード | 構造関数 / クォーク模型 / 深部非弾性散乱 / 短距離相関 / EMC効果 / グルーオン分布 / QCD和則 |
研究概要 |
1.核子の模型構造関数 前年度に行なったクォーク模型に基づく核子の構造関数の研究をいくつかの面で発展させた。 (1)クォーク模型による構造関数は、そのままで高エネルギー実験で得られる構造関数と比較はできない。これは、運動量移行Q^2とともに構造関数に寄与するパートン分布が変化するためである。実験との比較を行なう方法として、模型構造関数のQ^2依存性が通常のQCD発展方程式に従うと仮定し、この微積分方程式を解いて高運動量移行領域の構造関数を求めた。 (2)上記の計算で求められるのは構造関数のうちグルーオンと結合しない部分のみである。上記の発展方程式の妥当性を仮定すると、模型計算の段階でもグルーオンの寄与が必要であることが示される。このため、バッグ模型の枠内で、クォークが放射するグルーオン場を求め、分布関数を計算した。 2.原子核の構造関数 核子間の短距離相関を取り入れたスペクトル関数を用いて、重陽子及びヘリウム4原子核の構造関数を求めた。この際、核子の構造関数としては、実験値を再現するような経験的模型を用いた。この結果、次のような点が示された。 (1)Bjorken変数x<1の領域では、EMC効果に見られる比F_2^A(x)/F_2^N(x)が実験値をよく再現する。 (2)核子間相関が重要となるx>1の領域では、上記の比はスペクトル関数の詳細に強く依存する。とくに、x=1の近傍では、残留核の状態による寄与がそれぞれ特徴的な振舞いを示す。 3.以上の他、QCD和則を用いた構造関数のモーメントの計算を開始し、まず中間子に対する計算を行なって、実験値とだいたい合う結果を得た。
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