1.バンチ重心のシンクロトロン振動の影響を測定結果から排除するため、高速のPINフォトダイオードを用いて光子計数装置のストップトリガーを作るための光学系を設計、製作した。 2.バンチ内電子からの放射光以外の迷光、窓材等の発光の影響を調べるため、光電子増倍管への放射光の収束系を設計、製作した。 3.以上のシステムを用いて、単バンチ不純度測定およびバンチ形状の周回電流依存性測定を行った。 4.単バンチ時および多いバンチ時におけるビーム不安定の測定を行った。 5.単バンチ不純度悪化に関する理論解析を精密に行い、高エネルギーでの比較的ビームサイズが大きい蓄積加速器に対する計算式をまとめた。この手法の適応性を確かめるため、分子科学研究所での実験結果を再解析した。 6.単バンチ時のバンチ形状の電流値依存性について、実験結果を解析し、電流値が低いあたりでは真空チェンバー内に起こるバンチ長程度の波長をもつ電磁波成分が、バンチ変形をもたらしているという結果を得た。 7.主バンチの直後に小電流バンチを蓄積し、小電流バンチの変形が主バンチによってもたらされているかどうかを調べた。この結果、小電流バンチは自分自身の電流値に対応する形状をしており、変形をもたらしている電磁波成分は非常にQ値が低いことが分かった。 8.光子計数装置の建設、解析方法が確立したので、今後他のリングにも本装置を設置することにより、さらに系統的で有用な情報が得られるものと考えられる。
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