1。超新星残骸および電波銀河について、磁場と衝撃波面の垂線とが斜交する斜め衝撃波で得られる最大エネルギーの解析的評価を行い、最大エネルギーがそれぞれ、10^<16>eV、10^<20>eVに達し得ることを明らかにした。さらに、モンテカルロシミュレーションによって詳しい検討を進め、基本的に解析的評価を確認した。残った課題として、衝撃波面の幾何学的形状の影響の問題がある。膨張する球状衝撃波ついての研究を開始した。 2。加速理論を検証する観測との比較の可能性をいくつか考察した。加速源での宇宙線スペクトルは、銀河系内のものよりかなり硬くなるので、物質と衝突した際に発生するgamma線も高エネルギーでは、加速源が強く観測される可能性がある。 通常の超新星残骸のガス密度や宇宙線強度にたいして期待される高エネルギーガンマ線の強度を計算し、既存のチェレンコフ光観測装置や空気シャワー観測装置の検出限界が約一桁近く改善されれば、ガンマ線が観測可能であることを示した。現在進行中あるいは計画中の装置は十分超新星残骸からのガンマ線を観測可能であり、近い将来、宇宙線の加速過程が直接観測可能になると期待される。 3。GRO衛星で観測されたBlazarからのGeVガンマ線の放射機構についての検討も行なった。このガンマ線は、相対論的ジェット中の衝撃波による電子加速が関与しており、軟光子の逆コンプトン散乱によって生成されることを論じた。ガンマ線の最大エネルギーは電子の最大エネルギー、および光子光子衝突による吸収によって決定されるので、ガンマ線観測は電子加速過程にたいする強い制限を与えることになる。
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