研究課題/領域番号 |
04640308
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
土岐 博 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70163962)
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研究分担者 |
梶野 敏貴 東京都立大学, 理学部, 助手 (20169444)
久保 謙一 東京都立大学, 理学部, 教授 (50013389)
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キーワード | 不安定核 / 超新星爆発 / 相対論的平均場理論 / 核物質の状態方程式 / NJL模型 / マグネティックモノポール / ビッグバン / QCD相転移 |
研究概要 |
不安定核の構造の研究とあいまって、超新星爆発に使う為の核物質の状態方程式の研究は当初の目標に達した。相対論的平均場理論を使って、不安定核の構造を核子のドリップラインまで計算した。既存のデータとの比較は満足出来るもので、理論の予言として、不安定核の半径やドリップラインの位置を与えた。さらに、超新星爆発の為の核物質の状態方程式を計算しその数値テーブルを作って発表した。このテーブルは今後超新星爆発のシミュレーションに使われる。現在、その計算の為の準備を始めている。 クォークの閉じ込めの研究は金沢グループの提唱したマグネチックモノポール凝縮(MM)に注目して思考錯誤している。MMとインスタントンを結合させることを目標に研究を進めているが、まだすっきりした形にはなっていない。さらに次年度もこの方向で考えていく予定である。一方、NJL模型を使って得たパイ中間子の構造関数を計算した。低エネルギーでの構造関数をアルタレリ-パリジ方程式を使って運動量発展を行ない、高エネルギーの構造関数を計算した。実験との一致は非常に良い。この結果は、NJLの有用性を意味しており、今後クォークの閉じ込めの導入を行なう際の大きな自信となる。 (p,α)反応は天体核物理では重要な反応である。その理論的理解のためにいくつかのケースでDWBA計算を行ない、実験との比較を行なった。入射エネルギーが30MeV位の時にはDWBAで実験の絶対値までもを再現できることを確かめた。さらに、実験の存在するケースを調べたのち、エネルギーを下げて、天体核物理のデータを提供していく予定である。 ビッグバンの際のQCD相転移を取り扱う際に、これまではメソンやバリオンにたいして、既存の質量や半径などの情報を使って議論してきた。しかし、相転移の温度では、ハドロンの性質が既存のものとは違っているはずである。NJLの計算結果や格子QCD理論での計算結果を適用して、ハドロニゼーションのシミュレーションを行なっている。以前のものに較べるとその速度が、大きく変わり、クォーク星などの存在の可能性をも示唆している結果を得ている。
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